「ブロックチェーンとコミュニティの未来」を見据える先駆者達の価値観を知る

1/29(火)、千代田区麹町LIFULL本社にてアルトデザイン株式会社が主催するDigital Asset Academyの第2回目「ブロックチェーンとコミュニティの未来」が開催されました。

登壇者はブロックチェーン企業のCEO、大手広告代理店、ブロックチェーンSNSアンバサダーの方々にご参加いただき、ブロックチェーンひいてはトークンコミュニティの将来についてご自分の意見を語っていただきました。また、エンジニアから個人投資家の方々が本セミナーに参加しており、これからのブロックチェーンの可能性を示すように大変な賑わいを見せました。

登壇者の語った価値観

坪井大輔氏(株式会社INDETAIL 代表取締役)

坪井氏が語る実際に行なっているブロックチェーンを活用したユースケースの内容は下記になります。

  • 調剤薬局のデッドストック解消サービス
    ジェネリック医薬品や消費期限の近づいた薬品のデッドストック(不良在庫)を、薬局間にブロックチェーンを用いた信頼性の高い取引システムを介することで解消します。
  • トレーサビリティシステム
    自動車の製造から流通までを一覧化し、信頼性の高い情報管理体制を築きます。部品や自動車メーカー、エンドユーザーから中古車販売に至るまで各製造工程を一覧できるようすることで各プロセスの透明性が担保されます。
  • デジタルコンテンツ流通プラットフォームPoC
    コンテンツの提供者からサービス提供者への収益配分を、エンドユーザーの購入資金であるトークンによって支払うことで、その履歴はブロックチェーンに記録されます。それにより、コンテンツ提供者がコンテンツの二次利用による収益を受け取ることが可能になり、権利関係なども明確になることで、より良いコンテンツの発信が促されます。
  • インバウンド向け多言語スマート化
    IoT、AI、そしてブロックチェ−ンを組み合わせることで、スタッフの増員を必要とせずに無人での顧客対応を実現します。デジタルサイネージ搭載のスマートボックスによる鍵やアメニティの提供、AIスピーカーによる多言語フロント対応、ブロックチェーンによる宿泊予約情報管理。これらの組み合わせにより、訪日外国旅行客への対応を向上し、無理なく満足のいくサービス提供を実現します。
  • 地域通貨移送サービス
    地域内のスーパーや病院、役所などの生活に根ざす施設やバスなどの移動手段を、利用者がコインを対価として利用できるようなサービスです。

ユースケースに共通している項目として、既存通貨への交換は基本的に想定しておらず、クローズドなコミュニティのなかでしか使用することができないトークンであるということです。

坪井氏が考えるトークンコミュニティは「共通の価値をもった不特定多数のユーザーが活発に価値交換を行うコミュニティのこと」、この考えのもと事業を行なっているとのことでした。

伊藤佑介氏(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)

伊藤氏が考えるトークンコミュニティとは「ブロックチェーン技術で実装されたトークンを使って共通の価値観をもった不特定多数の生活者が活発に価値交換を行うコミュニティ」であるとのことでした。

伊藤氏は、トークンコミュニティの構成要素として下記の5つを挙げ、ビットコインを1つのトークンコミュニティとして捉えることで、その具体例を説明されました。

トークンコミュニティの構成要素

  1. ブロックチェーン技術で実装されたトークン
  2. コミュニティに参加する生活者の共通の価値観
  3. コミュニティ内で交換される価値
  4. 価値交換を活発にするためのイベント
  5. トークンコミュニティのエコシステムに参加するプレーヤーの役割分担と報酬設定

ビットコインコミュニティの構成要素

  1. bitcoin
  2. 中央銀行が管理する法定通貨からの開放
  3. 経済価値(お金)
  4. トークンと法定通貨との交換レートの変動イベント
  5. 各プレーヤーの役割
    ユーザー:トークンと法定通貨の交換による利益を得る
    マイナー:台帳に不正がないことをチェックし、正しい取引を記録することで、報酬を得る
    取引所:ユーザーにトークンと現金を交換するサービスを提供して、取引手数料を得る。

ビットコインをトークンコミュニティをして捉えることにより、より身近にトークンコミュニティを想像することができました。非常に理解しやすい説明であり、参加者達も首を縦に振り、なるほどと言わんばかりの反応を示していました。

伊藤氏は、「直接互いに情報をやりとりする限界コストがゼロ」になったインターネット社会で、デジタル空間で自由に情報交換することが可能になったと話しました。その上で、ブロックチェーンは、「直接互いに価値をやりとりする限界コストがゼロ」になり、デジタル空間での自由な価値交換が実現することで、集団的に想像した価値を所有できるコミュニティに形成に繋がるとしました。その価値観が実現したものが、まさに「bitcoin」ということになります。

Sho T氏(ブロックチェーンSNS「STEEM/Steemit」アンバサダー)

Sho T氏からはSteemを例に挙げ、トークンエコノミーについてお話いただきました。コミュニティには色々あり、感謝を見える化する(コミュニティトークン)、共感を価値にする(SNSトークン)、など様々なコミュニティのあり方が考えられます。

今後の未来の形は「様々な価値観ベースのコミュニティが存在し、コミュニティの中で力ではなく個性が活かされる社会になるであろう」との考えを示しました。また、Sho T氏は今後の課題として、以下の3つを示しました。

  1. 仕組み(テクノロジー)と感情(社会)のギャップ
  2. 市場規模や流動性
  3. テクノロジーの成熟過程および法規制等とのバランス

この課題を解決するためのアプローチとして「ホラクラシー型価値タイズ社会(※)」という考え方を示し、実社会における①のギャップは両者の融合によって解決されると話しました。

※ 現社会の階層構造「ヒエラルキー」と捉えたとき、階級や身分などの階層構造が存在しない管理体制を指します。Sho T氏は、管理者を不要とする価値の循環設計への移行に辺り、重要なファクターとして位置づけています。

セミナー全体を通して

質疑応答の際、参加者から「WHYブロックチェーン?」という疑問があがり、坪井氏がそれに回答しました。「様々なプロジェクトでブロックチェーンでなくてもいいケースはあるが、ブロックチェーンの考え方があったからこそ思いついたやり方であり、結果的にブロックチェーンの考えを使っていただけ」と話し、ブロックチェーンをはめ込むのではなく、あくまでその有用性により市場規模が拡大していくことを示唆しました。

登壇者3人が強調して伝えたかったこと、それは「ブロックチェーンは現状のマイナスを0にするものではなく、0から無限大を作ることができる」「金銭以外の報酬に対して価値を見出すことができるもの」ということです。経済の最小単位(日本であれば1円以下)のものや人同士のつながりなど普段目に見えないものに価値を見出すことができれば、ブロックチェーンは無限大の可能性を秘めています。

今回、技術革新の先端を行く先駆者達の見解を知ることのできた本セミナーは、引き続き仮想通貨およびトークン、ブロックチェーンの可能性を広くお伝えしていくために活動していきます。今後のトピックにご期待ください。

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