Vol.14:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

仮想通貨市場

今週の仮想通貨市場時価総額は、ビットコインETF上場承認前のタイミングで一時急騰し、週最高値となる2228億ドルをつけたものの、一部からは仮想通貨取引所BitMEX(デリバティブ取引が可能)のメンテナンス前の駆け込み需要や、BitMEXのメンテナンス開けを狙ったDDoS攻撃(サイバー攻撃の1種)によるショート・ポジションの強制清算に伴うものであるとの報道も出ています。しかし、BitMEXのシステム障害解消後間もなく、ETFに関してSECによる「否認」判断が公表されたことで、足元は週頭のレンジ相場(2100億ドル近辺)に戻る展開となり、本稿執筆時点では2112億ドルで推移しています(8/22からおよそ-0.052%)(第1図)。

今週の注目ニュースとしては、①ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が公式会計単位としてPetro(ペトロ)の導入を発表、②英クリプト・ファシリティーズがBCH先物取引を開始、③SECがDirexion、Proshares、GraniteSharesのETF上場申請を否認、④中国政府が仮想通貨取引とICOの規制をさらに強化などがあります。

【第1図:仮想通貨市場時価総額チャート(8/17〜8/24)】 

ベネズエラ:Petro(ペトロ)を公式会計単位に

インフレが悪化している中、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、同国の保有する原油の価値にペッグされた仮想通貨「ペトロ」を8/20より公式会計単位として導入することを発表(ABC Internationalの14日報道)しました。加えて、従来より計画されていた、法定通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ及び、公式為替レートの96%切り下げ(1米ドル=24万8520ボリバル・フエルテを、1米ドル=600万ボリバル・フエルテに改定)、並びに新たな法定通貨「ボリバル・ソベラノ」への切り替えの8/20付同時実施によって、新通貨「ボリバル・ソベラノ」は1単位あたり、従来通貨「ボリバル・フエルテ」10万通貨分と交換されることとなりました。

また、マドゥロ大統領は17日付で、近く「ボリバル・ソベラノ」をペトロにペッグさせ、給与や年金、物価もペトロと連動させると発表しています。ペトロは、1バレル当たりの市場価格とほぼ同じ価格1ペトロ=60米ドル(約6600円)または3600ボリバル・ソベラノで設定されるとしています。

しかし、このペトロを巡っては、ホワイトペーパーの詳細が不十分で、トークン設計そのものに疑念が残ること、取引所にも上場されておらず、ICOのバイヤー情報も開示されていないことなど、実装に移れるか否か以前に、その存在自体を疑う声もあります。8/23時点のNEMネットワーク上のペトロと思われるアドレスを確認すると、今年の4/26以降、取引履歴もなく、ペトロが実装した様子も確認できていません。

 

参考記事

仮想通貨と社会−第3回:ベネズエラ国産トークン「ペトロ」についての考察

 

今回「ペトロ」がベネズエラの公式通貨の一つになることが公けになったことで、実装に向けた準備が進められるものと推察しますが、声明のみが先行しているようにも見え、問題山積の中、実装されるまでには時間を要する可能性が高いと見受けています。

また、ペトロは流通しないうちから既に制裁の一環として米国では購入が禁じられており、他の経済政策もインフレ抑制効果に繋がるのか懐疑的な見方が多い中、ベネズエラの公式仮想通貨が普及するかどうかも不透明な状況と言えます。

一方、顕著な傾向として現れているのが、ボリバル通貨からの仮想通貨市場への流入です。2018年以降右肩上りとなっており(第2図)自国の政権と法定通貨に対する国民の懐疑心から、より「安全な資産」として仮想通貨が選択されていることが考察できます。新通貨導入後も不安定な政治・社会・経済情勢がすぐには解消されないことから、仮想通貨への流入は継続するものと予想されます。

【第2図:ベネズエラ仮想通貨取引所出来高チャート】

史上初BCH(ビットコイン・キャッシュ)先物が英国で上場

ロンドン時間8/17の16:00(日本時間8/18、00:00)、英クリプト・ファシリティーズ社が史上初となるBCH先物の取引を開始しました。今回のBCH先物は、米ドル建ての指数を基にする先物商品となっております。

クリプト・ファシリティーズは、BTC以外に、ETH、XRP、LTCの先物商品をアメリカのCMEやCBOEに先駆け上場させております。

先物市場の拡充は投資家のヘッジ手段の拡大に繋がることとなる上に、直物市場での将来の価格予想にも役立つことから、これから仮想通貨が金融商品として広く普及する布石となるでしょう。 

SECDirexionProsharesGraniteSharesETF上場申請を否認

米国時間8/22に、SECはビットコイン先物を裏付とするETFの9商品の上場申請に対し、これを棄却する判断をしました。棄却理由は、ウィンクルボス兄弟のETF同様、1934年証券取引所法第6条(b)(5)項の要件を満たしていないことを理由としたもので、ビットコイン先物市場(デリバティブ市場)が他の金融市場と比較するとまだ市場規模が小さく、「規制整備の欠如」と「価格操作」に対する懸念があるというものでした。

ところが、同9商品の上場判断に関して、委員メンバー(1名以上)の請求により、8/23付で再審査が行われることが公表されました。これまで見てきたように(ビットコインETFへの期待と課題)、ピアース氏がこれを主導した可能性が高いもののどのメンバーによる請求かまで公表はされていません。もっとも、仮想通貨コミュニティーでは、SEC(他の委員メンバー)の判断を覆るに十分な論拠があるか、やや懐疑的な見方が大勢を占めているように見受けられます。

最有力視されているVanEckとSolidXのビットコインETFは、現物拠出型であることから、今回の判断対象となった商品とは異なるため、引き続きSECの判断が待たれております。なお、同ETFの判断タイミングは9末頃から10/1の間と見られており、発表前後の相場は動き易いことから、再び注視する必要がありそうです。

中国政府が仮想通貨取引とICOの規制をさらに強化

8/22に中国の規制当局が仮想通貨取引と新規仮想通貨公開(ICO)の規制をさらに強化する方針であることが、中国メディアで報じられました(コインテレグラフ記事より)。中国当局は昨年9月に、仮想通貨で資金調達を行うICOの禁止と、国内仮想通貨取引所の閉鎖を強行しましたが、今年5月に始まった仮想通貨格付けの公表を皮切りに、仮想通貨禁止措置解除の布石とも取れる動きがあったものの、米中貿易摩擦で対立が激しくなっている中、中国からの資金流出に警戒した動きと見られています。

仮想通貨市場にはややネガティブな報道ですが、米国の金融政策などの影響により新興国通貨への不安も同時に高まっていることから、仮想通貨市場への流入も生じやすい環境にあると見受けており、相場にはニュートラルに働く可能性があります。

サマリー

今週は、BitMEXのメンテナンスの影響もあり、結果的にビットコインETF承認前後で相場が動いたものの、SECの「否認」判断がほぼ想定内であったことにより、8/22を除いては、ビットコインの対ドル相場は6500前後のレンジ相場に落ち着いております。

国内では、22日に金融庁の遠藤長官がロイター通信のインタビューに対し、金融庁は投資家保護とテクノロジーイノベーションの推進とのバランスを模索しており、国内取引所に対する行政処分は言わば、既存の金融機関では「基本的」な投資家保護対策が取れていなかったことに対する改善命令であり、仮想通貨業界の過度な抑制を行う意図ではない主旨の発言があったことから、再開・承認が待たれる国内仮想通貨取引所に近く動きがあるかもしれません。

前回までのFinAltウィークリーアップデート

Vol.13:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

Vol.12:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場同行を徹底分析

Vol.11:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

Vol.10:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

Vol.9:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨市場動向を徹底解説

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