Vol.11:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

市場動向

今週の仮想通貨市場時価総額は週中盤より横ばいから下落に転じ、週始値の2900億ドルから足元2600億ドルまで下落しており(およそ-11%)。

本稿執筆時点で今週の週高値は7/28の2999億ドルで、週安値は本日8/3の2600億ドルとなっております(第1図)。

先週7/27、ウィンクルヴォス兄弟によるビットコインETFに関する再検討の請願書の否決を受け相場が全体的に下落しましたが、翌28日には回復し30日まで市場時価総額は2950億ドル台を維持していました。今週は特段大きな好材料はなく、度重なった悪材料で市場に売り圧力がかかったと考えられます。

一方で、ビットコインが年初来安値を示現した6/29から見ると、今週の下落をもってしても市場時価総額は12%の上昇を記録しております(第2図)。

今週の注目ニュースとしては、①アメリカの経済学者でノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏によるビットコインに対するネガティブ発言、②米フォレスター・リサーチによるブロックチェーン・プロジェクトの進行度合いの研究レポート発表、③、Chainalysisによるビットコイン決済総額が低下しているとの研究発表、④世界的投資銀行UBSによるビットコインに関するレポートの発表などがあります。

仮想通貨は通貨システムの歴史を300年巻き戻している−ポール・クルーグマン氏

The New York Timesのオピニオン欄にて7/31、アメリカの経済学者でノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏が仮想通貨を批判しました。

クルーグマン氏は、通貨の歴史における発展の方向性が「ビジネスにおける摩擦とそれを対処するためのリソースを減らす」ことだとしています。例えば、金や銀でできた硬貨は相応の重量があり、セキュリティや製造コストが多くかかります。この問題を解決したのが紙幣になります。

しかし、その後紙幣からチェック、そしてクレジットやデビット決済などのよりフリクションレスなデジタル方式が普及しました。

これと比較して仮想通貨は、デジタル決済システムと言えますが、ビットコインなどを利用した決済はその台帳上のすべての取引履歴を要する上に、新規通貨の発行には処理能力の高いコンピューター、つまりリソースが必要になります。

クルーグマン氏はこの点において、仮想通貨は通貨システムの歴史を300年巻き戻しているという意見を示しております。

フォレスター・リサーチ:90%のブロックチェーン・プロジェクトは実現しない

同じく7/31、アメリカの市場分析・アドバイザリー会社のフォレスター・リサーチが、現在アメリカで進行中のブロックチェーン・プロジェクトの90%は実現しない可能性があると主張する研究を発表したことがBloombergより報道されました。

Bloombergによると、企業による分散型台帳技術の導入は未だ研究・発展段階にあり、結果的に企業がプロジェクトを延期、または辞退するケースもあるようです。

Enterprise Ethereum Alliance取締役のロン・レズニック氏によると、企業によるブロックチェーンのユースケースは成長曲線を描いておらず、今年中にその数が急増することも想定しづらいようです。

ビットコイン決済総額は著しく低下

8/1にChainalysis(チェイナリシス)によるビットコインによる決済総額が著しく低下しているという研究結果が発表されたことがBloombergより発表されました。

チェイナリシスによると、仮想通貨決済サービスを提供するTOP 17の会社がプロセスしたビットコインの決済総額は、昨年の9月に4億ドルに達したものの、その後急落し2018年6月には6490万ドルまで萎縮したようです。

背景にはやはり高いボラティリティがあり、仮想通貨を保有する大多数の人口は投機が目的だとBloombergは結論づけております。

7/29には、イーサリアム開発者のビタリック・ブテリン氏が加熱する仮想通貨ETFへの注目を批判し、仮想通貨の実社会での普及を促すツイートをしていたことから市場に失望感が生まれたことが考えられます。

UBSレポート:ビットコインは通貨ともアセットクラスとも言えない

8/3には世界的投資銀行のUBSがビットコインを通貨・アセットとして批判するレポートを発表してことがBloombergより報じられました。

当レポートは、ビットコインが技術的に大量の取引を処理できないことと高いボラティリティを挙げ、ビットコインは「実行可能な通貨、あるいは主要なアセットクラスになるには、不安定で限定的すぎる」と主張しています。そして、ビットコインが米ドルの供給を代替するには、1BTCあたりの価格が21.3万ドルになるか、大幅な技術的改善が必要だとしています。

サマリー

以上のように、今週は仮想通貨の特に技術面に対する批判が目立った週となりました。これらの批判は、現在の仮想通貨の現実を確かに捉えているかもしれませんが、分散型台帳技術は決してブロックチェーンだけではなく、事実ブロックチェーン以外のものがすでに開発されており、技術面でより優れた仮想通貨が今後出てくることへ期待が寄せられます。また、ブロックチェーンを基盤とする仮想通貨の開発者たちも現在直面している課題を解決しようと動いており、上記のような批判があろうとも、仮想通貨の実社会での普及の可能性を完全否定する必要はないと言えるでしょう。

しかし、相場は今週、週後半より軒並み下落基調となりました。

ビットコインの対ドル相場は、7/30まで終値が365日移動平均線の上で推移していましたが、7/31に大幅に割り込み、(第3図)それと同時に、5/5高値(9948ドル)と6/29安値(5774ドル)を起点とするフィボナッチ・リトレースメント50%戻し(7861ドル)も割り込みました(第4図)。相場は足元、①フィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し(7369ドル)周辺、②90日移動平均線(7341ドル)と30日移動平均線(7227ドル)周辺で推移しており、同水準から反発できるか注目されます。

イーサリアムの対ドル相場は、本日8/3、一時安値が6/29安値(404ドル)と7/8高値(495ドル)を起点とするレンジ相場を下方ブレイクしましたが、本項執筆時ではレンジ下限の404ドルまで戻しております(第5図)。

本日の安値がレンジ相場下方ブレイクをしたことで「悲観ムード」が色濃くなりましたが、ETH対ドル相場のRSIは足元34%と過熱感も出てきそうです。

リップルの対ドル相場は8/3、6/29安値(0.42ドル)と7/3高値(0.51ドル)を起点とするレンジ相場の下限に確かりサポートされ反発(第6図)。30日移動平均線(0.45ドル)が上値目途として視野に入ります(第7図)。

 

これまでのFinAltウィークリーアップデート

Vol.10:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨価格と市場動向を徹底分析

Vol.9:FinAltウィークリーアップデート 仮想通貨市場動向を徹底解説

Vol.8:FinAltウィークリーアップデート 仮想通市場動向を徹底解説

Vol.7:FinAltウィークリーアップデート 仮想通市場動向を徹底解説

Vol.6:FinAltウィークリーアップデート 仮想通市場動向を徹底解説

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