Vol.2:リップル(XRP)の謎  -XRPはブリッジ通貨?-

リップル社の方針転換により、現在のRippleNetは、IOUとゲートウェイを必要としないことについては、「Vol.1:リップル(XRP)の謎 -IOUとゲートウェイは不要?-」でご紹介しました。また、従前はゲートウェイが発行するIOUの信用リスクを排除する目的で、XRPへの需要が見込まれていましたが、現在のInterLedger Protocol(ILP/分散台帳)を基幹としたシステムにおいて、XRPは純粋なブリッジ通貨としての活用が見込まれています。

リップルを支えるシステム

まずは、現在のILPベースのシステムから順を追って整理していきたいと思います。

ILPはInterLedger Protocolの略で、Protocolとは通信規約のこと指します。一般に馴染みのある「通信規約」には、HTTP – ホームページ閲覧、②SSL – 暗号化通信、③FTP – パソコンからサーバーへのファイル転送、④TCP/IP – 信頼性を重視したパケット送受信などが挙げられ、ILPはその一種とイメージいただければと思います。

ILPという通信規約がリップル社によって開発されたことにより、金融取引・クレジットカード取引・仮想通貨取引所・モバイル決済など、デジタルシステムに記録され、資産の移転(資金の移動)が伴う取引であれば、ILPに繋げるためのプラグイン(※1)を介すことで、あらゆる台帳(取引記録)を相互につなぎ、台帳をまたいだ資産の移転が可能となります。

ILPに例えられるのがメールのやり取りです。一人がGoogleのGmail、一人がMicrosoftのOutlookを使用していても、メールがお互い送受信できるのが当たり前であるように、ILPは異なる台帳同士の送金を可能にするシステムと考えると分かりやすいと思います。

全ての台帳が同じ会計システムを使用していれば、相互に繋ぐのに障壁はありませんが、異なるシステムが用いられているため、台帳をまたぐやりとりに、リップル社は「コネクター」(接続子)と呼ばれる仲介者を中継させて、「送金者」と「受金者」をつなぐ仕組みを導入しました。

コネクターには、誰でもなることができますが、送金者と受金者の両方の台帳のアカウント(通貨等)を有していることが求められるため、現状ではコルレス銀行(※2)や仮想通貨取引所などの流動性プロバイダが想定されています。コネクターの問題は、従前の「ゲートウェイ」同様に、誰でもなることができるがゆえに、その信用リスクをどのように排除するかという点でした。悪いコネクターがいれば、送金者からお金を受けつつ、受金者に送金しないことができるためです。

そこで、ILPには暗号「エスクロー」と呼ばれる機能が装備されています。

「エスクロー」は既存の金融取引でも用いられており、信託銀行などが中立的な第三者となって、買主の前払金を保管しておき、事前に定めた売買契約の条件が成就した場合に、売主に資金が交付されるという、資金決済の安全性を確保する預託サービスです。

リップル社はこの仕組みをILP上に装備し、送金時の資金は①自動的に暗号エスクローに預託され、②コネクターがきちんと仲介をして「送金者」から受け取った資金を送金すると、③再度自動的にエスクローを経由して、④最終的な「受金者」に送金されます。

受金者が着金確認(=条件の成就)をすることで、まず③の暗号エスクローが解除され、次に①の暗号エスクローが解除され、コネクターが送金した分を取り戻せる仕組みが採られています。なお、コネクターの仲介手数料は、①の受金額と②の送金額の差額になります。

これらの仕組みにより、そもそもIOUやゲートウェイを使用しないことから、送金過程におけるセキュリティー面の問題や送金情報の可視化といった金融機関が挙げた問題が解決され、各国の銀行との提携が加速し始めました。

リップルのこれから

さて、冒頭にお伝えしたXRPの活用ですが、世界各国との様々な取引を行うにあたって、1つのコネクターが全ての通貨ペアを取り扱うことは現実的ではありません。円・米ドル・ユーロなどの主要通貨であれば、1つのコルレス銀行で対応可能となりますが、マイナーな通貨や仮想通貨が入ると複数のコネクターを中継する必要が生じ得ます。コネクターは仲介手数料を受け取るため、複数のコネクターを中継することで送金手数料が必然的に高くなってしまいます。そこで複数のコネクターを経由し両替をしなくても、XRPというブリッジ通貨を保有することで、送金がより早く・安くなり、幅広い活用が見込まれます。

次回は、ILPを根幹とした、リップル社が提供するソリューションについてご紹介し、XRPのブリッジ通貨としての活用についてまとめていきたいと思います。

(アルトデザイン株式会社 葵)

※1 現在のプラグイン開発状況はこちらをご参照ください。

※2「コルレス銀行」(Correspondent Bank)は、主に外国為替取引で使われる用語で、自ら為替業務を行うことができない他の金融機関に代わって決済取引等を扱う金融機関を指しています。

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