イーサリアム:ETH価格にも影響するか?コミュニティ内動向まとめ

資金紛失・発行上限・ASICs台頭:拡大するコミュニティと積み重なる課題

イーサリアムは今や時価総額第2位の誰もが知る仮想通貨となりました。イーサリアムの一つの大きな特徴は、「World Computer」、即ち「世界のコンピュータ」を目指すこと以外に、その運営方法にあります。2014年にICOにより発行されたETH(プラットフォーム内のネイティブ通貨、イーサ)は、Ethereum Foundationという発行体がありながら、分散型の管理体制を維持してきました。

イーサリアムを動かすプロトコルや諸設計は、GitHub上でユーザーによって議論され、「民主的」に舵取りがされます。これらの提案は、「Ethereum Improvement Proposals」、通称EIPに挙げられます。今回はここ最近イーサリアムコミュニティ内で大きな反響を呼んだEIPsをまとめました。

①資金紛失

EIPシステムは一見画期的ともとれますが、コミュニティが大きくなるにつれて、EIPsのコンセンサスをとることが困難になってきている現状があります。つい先月の4日に投稿されたEIP-999(コードに修繕を施すことで、コントラクトのバグによる「偶発的自爆」で紛失したETHを返却する提案)はコミュニティ内で大きな議論を巻き起こしました。

賛成派は、バグによる偶発的なETHの紛失は頻発していることを指摘しましたが、反対派は実行されたコントラクトを書き換える事は、セキュリティのみならずプラットフォームの統合性をも傷つけか兼ねないとして、顕著な対立が生まれてしまいました。さらなる不安要素としては、ソフトウェア会社でイーサリアムの開発に大いに貢献しているParity TechnologiesとGethが対立し、お互いがイーサリアム・ブロックチェーンのフォークをチラつかせるなどの事態も見られました。

結果的にこの件はディベロッパーが「一つのブロックチェーンを保つ」というコンセンサスに到達できるよう解決策を模索する方向で収束しましたが、もしフォークが起きていたらETHの価格が急落しかねない状況でした。しかし、現在もハードフォークの可能性は完全に0%ではないので、注意が必要です。

②発行上限

さらに、4/1のエイプリルフールにイーサリアム開発者の一人、ビタリク・ブテリン氏がETHの供給量に1.2億のキャップを設けるという趣旨のEIP-960を投稿しています。

ビットコインと異なり、イーサリアムには供給量の上限が現在設けられていません。ブテリン氏は様々な状況下での経済的サステイナビリティへの考慮と、現在のPoWが新規ETHの平等主義的な分配やその他の有意義なプラットフォームの政策に結びつかないとして、ETHの供給量を制限すると提案。しかし、提案日が4/1だったことから、「エイプリルフールの嘘ではないか?」というレスポンスも多く見られました(ブテリン氏は今までもエイプリルフールに嘘の情報を流していました)。

参考記事:「エイプリルフールに要注意!?イーサリアム創業者による二つの「嘘」

 

しかし、後にブテリン氏は今回の提案は真面目なものであると表明。コミュニティ内での議論をさらに白熱させました。勿論、「デジタル・スケアシティ(デジタル希少性)」、ビットコインの価値とその推移を可能にする技術は、実行されるとなればETHの価格に大きな影響を与えることになります(希少性が高くなると価値の上昇に繋がります)。このことから経済的、及び投機的観点から議論や対立が見られましたが、そもそもコンピューターシステムとしてのプラットフォームが経済的・投機的インセンティブの議論に用いられることに難色を示すデベロッパーもいました。

現状、EIP-960に大きな進捗は見られませんが、CoinDeskによるとブテリン氏はデベロッパー達を説得するべく動いているようです。

③ASICsの台頭

そして最後に、イーサリアム専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定の機能を果たすための集積回路。マイニングの場合は、その効率をあげるために用いられる)の台頭です。4/3に中国の大手ASICハードウェアメーカーのBitmain社が、対EthashのASIC、「Antminer E3」を公表しました。イーサリアムのPoWアルゴリズムのEthashは、ハードウェアの計算能力よりもメモリーを重視したものとなっていて、ASICが「通用しない」とされてきました。

今回のAntminer E3の発売は3月末よりリーク情報によって噂されていて、イーサリアムコミュニティでは、EIP-958が挙がりました。こちらの提案は、新たなアルゴリズムで現ブロックチェーンのハードフォークを行う提案となっていて、大きな支持を集めています。

しかし、AsicMinerValueによると、実際Antminer E3のパフォーマンスは(5/1現在)一日に6.88米ドル程度のリターンと、例外に高い訳ではないようです。ブテリン氏も今回の件については、「コミュニティ内で短・中期的に議論を進めることを期待」しているだけで、「どのようなフォークをするか具体的に決めるには時期尚早だ」としています。

ただ、ASICのパフォーマンスが既存のGPUを大幅に上回る場合、大規模で資金のある少数のマイニング事業者がモノポリーを奪い合う事態となり、新規通貨の平等な分配ができなくなります(ビットコインでは既にこの現象が起きています)。ですので、ブテリン氏が言うように、イーサリアムコミュニティは常にASIC対策を念頭に入れておく必要性があります。

最悪の場合イーサリアムは、そのホワイトペーパーにも記されているように、PoWをPoSに変更する可能性もあります。尚、イーサリアムではこのPoSプロトコルのことを「Casper(キャスパー)」と呼んでいます。

こうすればASIC対策をすることができますが、Casperへのシフトには未だ公式な日程が決まっていません。

まとめ

以上のように、イーサリアムは時価総額2位を誇るメジャー仮想通貨ですが、その運営には様々な問題が纏わり付いています。これらの賛否が拮抗する問題が解決に至らないのには、コミュニティーの拡大によりユーザーベースでのコンセンサスを計るのが困難になっていることが挙げられます。

現在はCoin-VoteやSNSでしかユーザーのスタンスを計る術がないようですが、これだけでは正しい数字が取れないという意見もあります。イーサリアム上には、15,931のノードと(ethernode.com)、3,240万のユニークアドレス(Etherscan)が存在します。これらのネットワークの「参加者」の合意を得ることは困難なことで、時間をかける必要があることは容易に理解できます。

幸いにも、これらの大きな課題が浮き彫りとなっても、ETHの価格には大きな影響はありませんでした。4月には仮想通貨市場の「売りトレンド」が「買いトレンド」に転換する兆しも見え、ETHを含め全体的に上昇を記録。仮想通貨市場の時価総額は現在、昨年11月上旬の水準まで回復しています。

 

参考記事:

第1回:バークレイズのプライシングモデルから読み解く仮想通貨市場サイクル

第2回:バークレイズのプライシングモデルから読み解く仮想通貨市場サイクル

 

 

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