仮想通貨と社会-第2回:オープンソースであることの意義-

ビットコインが生み出す新たな社会信用を読み解く

本記事は、仮想通貨と社会のありようについて考える記事第2弾です。今回は前回の仮想通貨の存在意義に続いて、ビットコインのブロックチェーンがなぜオープンソースであるのかについて解説していきたいと思います。

仮想通貨と社会-第1回:仮想通貨の存在意義を考える-

 

ビットコイン登場によるアルゴリズムオーソリティーの変化

現代のテクノロジーの進歩により私たちの生活の中に着実に定着してきている様々なソフトウェアを搭載するテクノロジー。その根幹にあるものは、そのオペレーションを可能にするアルゴリズムです。この単語は抽象的な印象を与える一方、直実にプログラムされたアクションを施行します。そして、そのアクションは私たちの思考や行動に大きな影響を与えています。

そんなアルゴリズムの力に、エスエフチックな想像を抱く人も今の世の中には少なくないように思います。AIなどに搭載されているアルゴリズムの能力は、今すでに人間を超え始めています。もちろんアルゴリズムは人間が作るものですが、そのコードは公開されていないものが多いのです。作成者側が競争のため公開できないことは理解できますね。

その点ビットコインのブロックチェーンはコードがオープンソースで、誰もがそのオペレーションの仕組みを知ることができます。これはおそらく「分散管理される通貨を作る」と言うビットコイン開発側の意向が反映されているのだと思います。  

今ではストックとして扱われるのが主流なビットコインや他の仮想通貨ですが、今回はまだその価格が高騰する以前の2015年に出版されたビットコインユーザーのオピニオンについての研究について触れ、オープンソースであるビットコインが生み出す新たな社会信用の形を読み解いていこうと思います。

 

コミュニティ内での葛藤

ビットコインコミュニティー全体として、ブロックチェーンのアルゴリズムには中央集権型の通貨より信用を置けるとのコンセンサスがある一方、米国カリフォルニア大学がコミュニティ内のオピニオンに関する興味深い論文を出しています。情報科学教授ボニー・ナーディ氏と博士候補生ケートリン・ラスティグ氏の研究によると、ビットコインコミュニティーには以下のような意見が複雑に絡み合っています。

  1. 政治的かつ非政治的
    論文を読んでいて目立つのが、従来の通貨を取り巻くガバナンスの体制への不満です。通常の通貨ではインフレ率を民主的に管理することができないのは勿論、その決断を下すリーダーも決めることもできないことへの不満です。

また、ビットコインを利用することによって利息、延滞料に金利を自ら決められるメリットを挙げる元銀行員もいました。さらにはビットコインのアルゴリズムは非政治的で絶対的中立性があるとして、通常の通貨の管理体制よりも信用が置けると言う意見もありました。

このように通貨を取り巻く従来の政治体制や金融機関に対して明確な対立姿勢を示す人々が当時のコミュニティには多く存在したようです。

  • 中央集権vs. 分散型既存の機関への依存vs.抵抗
    ただ、そんなビットコインにも恣意的な人間の操作が不可欠だと言う意見も少数ながらあります。2013年に起こったビットコインの偶然のフォークの対処がその例の一つで、当時最新版のBitcoinQt0.8を使用していたマイナーは分岐したブロックを正当とみなしましたが、未アップデートだったマイナーは元のブロックを正当とみなしました。この際マイナーたちは同意の上で、元のブロックを正当な繋がりにすることにしました。つまり恣意的に51%アタックをかけたことになります。

 

またアメリカには事実上ビットコインを代表する組織、ビットコインファンデーションがあり、米政府のビットコインに関する法作りに関与しています。これらの事象は分散管理とは言えませんが、必要悪であると考えるユーザーもいるようです。

またビットコインの交換通貨としての正当性の観点から、やはり少数ではあるが政府の後ろ盾がないことには普及はないと考える人もいます。ですが政府による暗号通貨の管理への反対派は、そうなればまた別の暗号通貨に乗り換えるまでだとイタチごっこの構造ができてしまっています。

  • 現実と理想の矛盾
    この研究は2013年から2015年にかけて行われたので、ビットコインの認知度の低さについても指摘がありました。例えばビットコイン投資家の中でも始めるのに躊躇したり、友人に知ってほしくてビットコインを譲ろうとしたら断られたとの話も出てきます。

 

そもそも暗号通貨はかなりテクニカルで、素人には情報収集を正しく素早くするのが難しいと言う点もあり、当時は少し世間から距離を置かれている印象があったようです。また当時ビットコインは麻薬売買などの犯罪との結びつきが問題視され始めた時期でもあり、イメージの改善を願うユーザーも多かったようです。

  • 新たな信用の形で理想的通貨のガバナンスは実現するか?

以上のような対立や葛藤を抱えるビットコインコミュニティーですが、ナーディー氏とラスティグ氏はこれだけの拮抗する意見やイメージの問題があっても当時のユーザー達が一貫してビットコインに信用を置いていることに着目しています。

信用は、その対象の行動を予測できればできるだけ置きやすくなります。もちろんブロックチェーンのコードを理解するには技術的知識が必要となりますが、先ほども述べたようにオープンソースであることを利用し、そのアルゴリズムの仕組みを知ることができます。このことから意思決定の行程に透明性が欠ける政府や金融機関よりも、ブロックチェーンのアルゴリズムに信用を置くことができるのではと考察できます。

このガバナンス体制は構造上かなりユニークなものと言えます。通常、ガバナンスには信用できる第3機関があり、人々は関連するアクターを信用しなければなりません。blockchain.infoCSOアンドレアス・アントノプロス氏曰く、ビットコインコミュニティーの場合は、誰も他人に信用を置く必要がありません。何故なら、ブロックチェーンのアルゴリズムガバナンスでは、信用をするふりも、しないふりもする意味がないからです。また、ユーザー全員が「正直なノード」であること、すなわちルールに従うことが最も理性的な選択であると理解していることもあるでしょう。

これではビットコインコミュニティーが完全にアルゴリズムによるトップダウンな支配体制だと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。例えば20178月に起きたビットコインの分岐にはマイナーの意向が反映されていたりします。

このように、ビットコインはユーザーがシステムの一部となるヘテロメーションである一方、オープンソースであることからユーザー側が改善策を練ることもできます。事実ネット上では、ビットコインユーザー達が如何なる改善が施すことができるか様々なディスカッションをローンチされた当初から行っています。

ただ、このアルゴリズムへの信用と言う新たな概念も、2017以前のビットコインのように社会浸透の問題が伴うように思えます。その構造や概念、さらに中立的ガバナンスは革新的社会進歩となり得るが、やはり技術的知識がなければ絶対的な信用を置くことはできないと考えるのが一般的です。さらにその正当性を保証することさえできない現状では、ビットコインコミュニティーの一部が描く政府や銀行に依存しない理想郷はほど遠いように思えます。

参考(Algorithmic Authority: The Case of Bitcoin

http://www.artifex.org/~bonnie/lustig_nardi_HICSS_2015.pdf

参考(Ethereum Blog

https://blog.ethereum.org/2014/05/06/daos-dacs-das-and-more-an-incomplete-terminology-guide/

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