HFT(高頻度取引)とは? AIとは別モノなの?

 

一時期、『フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち』などの作品で、巨万の富を稼ぎ出したと話題になったHFT(High Frequency Traiding)をご存知でしょうか? 高性能コンピューターを用いてアルゴリズムでトレードを行うこの仕組みは、個人でできるのか、AIを用いているのか、そもそも儲かるのか。 最新の情報を交えてお伝えします。

 

HFT(高頻度取引)の概要

HFTとは、High Frequency Tradingの略で、高頻度取引と訳されます。最適化された通信システムを用いることで取引執行にかかる時間を極限まで短縮し、高い演算能力を持つコンピューター上でアルゴリズムを実行することで、 市況を自動的に判断しながらナノ秒単位でポジションを持つ手法が多くなっています。

つまり、小口の注文を短時間のうちに大量に行い、少しの価格差から利益を得ることを繰り返して利益を積み増していくという運用方法です。 対象となるアセットクラスは株式指標(インデックス)の先物や、FXが多くなっています。もちろん、個別株でも行われています。市場としては、公開市場をはじめ、PTS(私設取引システム)も利用されます。 アメリカでは2000年代後半から盛んになっており、市場の取引量の50~70%がHFTによるものであるという指摘もなされるほどです。

日本でも、東証がアローヘッド(ArrowHead)を導入したことで高速取引のインフラが整い、HFTが盛んになっています。

実際、儲かる運用手法なのか?

HFTは一部では「全くリスクを取らずにリターンを得られる手法」とも称されています。 例えば、米国には複数の取引所で同一銘柄が取引されていますが、各取引所での値付けにはミリ秒かそれ以下の単位でズレが生じます。これを利用すれば、ほぼリスクなしでこの差がリターンとなるでしょう。

しかし、「莫大な利益を得ている」ことを指摘する新聞記事や論文がある一方で、それほど利益を出せていないという声が上がることもあり、一概に絶対的な運用手法とは呼べないかもしれません。HFTを行う会社の基本スタイルは秘密主義であるので、実態を正確につかむのは難しくなっています。

ただ、東京市場でも売買を行うHFT大手の米バーチュ・フィナンシャルの2013年1-12月期の純利益は1億8220万ドル(当時の換算レートで約185億円)となっており、騒がれるほど大きなリターンを得られていないという印象もあります。

業界再編の波

2017年8月18日、The Wall Street JournalでHFT業界が苦境にあえいでいる旨の記事が掲載されました。

(以下の記事はThe Wall Street Journalの有料会員限定です)

参考:高頻度取引業界を襲う再編の波

この記事によると、近年の株式やコモディティの相場変動=ボラティリティの縮小が原因でHFTを行う会社の業績が悪化しているとのことです。 相場の変動が大きかった金融危機後の数年間は大きなリターンを得ることができたものの、過去最低水準で推移するシカゴ・オプション取引所のVIX指数を見ればわかる通り、足元の相場は安定しています。

この記事では、HFTを手掛ける米DRWホールディングスが、同業RGMアドバイザーズを買収することになった旨が記載されているが、この種の買収は他でも生じており、HFT業界全体としての規模の縮小・撤退が相次いでいるのが現状です。 今後も再編の流れは続くとの見方が示されています。

HFTとAIによるトレーディングは違う

昨今、AI運用というワードも流行っており、これとHFTが混同して語られるケースも多々あります(そもそもAI運用も厳密には機械学習レベルのものが多く、ディープラーニングを応用しているファンドとそうでないものが混ざっているのですが、ここでの主題ではないので割愛します)。

単純化すると、AI運用は過去のデータから適切な独立変数を出す、つまり株価に強い影響を与えるであろう原因を見つけ出してくれるところまで機械がしてくれて、残りの利食い・損切タイミングの決定や保有期間・決済方法の選択などは人間が行います。

一方、HFTは統計的な鞘取りであり、持ち前の高速トレーディング能力で市場に発生するわずかな価格差を利益に変えるものです。 そもそも、HFTが頭角を現したのは2000年代であり、まだAIのディープラーニングは金融業界で注目もされていなかった時代です。ディープラーニングの登場は2012年ごろといわれています。 AI運用とHFTを混合しないように気を付けましょう。

 

HFTの問題点 株価乱高下の原因?

HFTは売買アルゴリズム、ネットワーク、データベース、セキュリティ、OSなど様々な分野において高度な知識を必要とする上、大規模なインフラも整える必要があり、行える投資家は限られています。 それ故、HFTを利用しない(できない)投資家にとって、市場の想定外のイベントが発生した場合の価格変動リスクや、取引の公正性確保への不満は大きくなっています。 HFTによる実際の株価暴落例を交えて、問題点と規制の現状を以下で解説します。

HFTによる事件の前例

2010年5月、アメリカの株価指数であるダウ工業株30種平均が5分という短時間の間に株価が急落、下落幅は1,000ドル(9%)に達し、出来高はこの間だけで190億株に上りました。 事件の原因は英国人とレーダーで、大量の見せ玉という手口を用いて相場操縦をしたという容疑で逮捕に至りました。 この現象は「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれ、個人投資家による投機的な取引というよりも、超高速取引による影響が大きいとの見方が強くなっています。

大きなトレンドが出ると売り(買い)の連鎖が続く

2017年時点で、HFTはアメリカ市場の1日の取引量の70%、日本でも50%を超えていると言われています。近年はビッグデータ解析による自動売買システムも併用されているとの指摘もあります。 例えば、ツイッター上のつぶやきで、「テロ」「爆死」「銃撃」「死亡」などのネガティブなワードが一定量以上流れると、それを検知したアルゴリズムが作動し、自動で大規模な売り注文が執行されるというプログラムが存在が実際にはあります。

ひとたびそのようなアルゴリズムが作動すると、それは全世界に波紋し、今度は一定の値幅以上下落した際にロスカットをするために自動的に売り注文が執行されるという別のプログラムが作動し、それが連鎖することで株価水準がどんどんと適正値から外れていくということも起こり得ます。

大きなテロなどがあった際に全世界で株価が急落することについて、全てHFTによるものではもちろんありません。しかし、全世界かつ短時間で株価が暴落することにHFTが大きな影響を与えているのは間違いないでしょう。

日本における規制状況について

各国、特にHFTが盛んな欧米の取引所ではHFTについて一定の規制を設けていますが、日本においても証券取引等監視委員会により見解が示されています。 2017年の改正金融商品取引法では高速取引に関する規制として、大きく以下の3つの柱が盛り込まれています。

1.高速取引をする投資家の登録制

2.高速取引をする投資家への取引記録の作成と保存の義務付け

3.証券会社や取引所による無登録の投資家からの高速注文の取り次ぎを禁止、証券会社が名義人となって代理で売買することも禁じる

違反があった場合、最大で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその双方」、法人に対しては最大で3億円の罰金が別途科されるとのことです。 HFTは市場に一定の流動性を与えているとの見方もあり、十把一絡げに規制をするのも健全ではないと言われています。 システムが高度化する中、一つ一つのケースを精査する必要がある場合も多く、これからも規制の動向には注意が必要です。

 

HFTは個人でもできるのか?

一度アルゴリズムさえ組めばあとは機械が自動的にトレードをしてくれる、と聞くと非常に魅力的な運用手法だと思われる方もいるでしょう。 しかし、HFTを行っている業者に対する投資は基本的に機関投資家にしか門戸が開かれてなく、個人は投資できません。 では、自分(個人)でHFT環境を構築して、超高速トレードを自動的に行うことは可能なのでしょうか?

実質、個人での運用は難しい

結論から言うと、個人でHFTを行うことは非常にハードルが高く、できないといっても過言ではありません。というのも、個人が用意できるインフラでは既存のHFTのそれには勝てないからです。 HFTを行なっている会社は、取引所から出来るだけ近い場所にデータセンターを建設します。

その理由は、物理的な距離が近い方がナノ秒レベルで取引速度が有利になるからです。そして、HFTにおいてはそのナノ秒の違いが決定的な差になります。 個人に対して高速取引用のサーバを提供(月7,80万程度で借りれるとのこと)している業者もいるようですが、本業のHFT業者でも苦戦している環境下で中途半端なインフラを構築しても勝ち目はないでしょう。

PythonでHFTが可能?

しばしば、Pythonを用いてシステムトレード環境を構築=HFTの入り口、といった主張をネット上で見かけます。 これは、ネットワーク上にあるデータベースから金融関連のデータを引っ張ってきて(スクレイピング)、Pythonの企画学習パッケージを用いてデータの特徴量を分析し、安定した収益を実現する投資戦略を構築するというものです。

先述したように、機械学習(狭義のAI)とHFTは別物です。Pythonでデータの特徴量を分析する程度なら個人のマシンでも可能ですが、10億分の1秒で売買注文を発注し続けるHFTを行うには全くスペックが足りません。 問題はマシンのスペックにとどまらず、売買を行うロジックの他にも、ネットワーク、データベース、セキュリティ、OSなど、広範な分野で高度な知識を必要とします。 さらに、ブローカー(証券会社)の側も一秒間の間に何千何万と注文を入れてくる迷惑な客はお断りなはずです(SBIでは1秒に10回でも止められることがある)。

以下のリンクにある記事のように、相場操縦として課徴金を課されるケースもあるとのことです。 やはり、個人でのHFT環境構築は難しいと言わざるを得ません。

引用:「アルゴリズム取引」逆手に相場操縦 30代のデイトレーダーに課徴金勧告

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